ラーメン伝説第3部 1-3-3

そして、殺人事件が続出する地域に、その店もあった。

「復讐か・・・何のために」
島田がつぶやいた。

「祖父だか曽祖父が殺害された恨みを晴らすとか」
村友が資料を見て言った。

「店のラーメン丼は格安の物を使い、頻繁に壊れるとかで・・・」
「興味深いな」
「いつも、100円ショップ等で丼を大量に購入するとか」
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ラーメン伝説第3部 1-3-2

「恨みラーメン金曜田」
フランケンフルト市中心部より少し離れた雑居ビルの隣に
そのラーメン店がある。
ラーメンブームの流行によってできた数多くのラーメン屋の中
のひとつであった。

店主の名は、金曜田 十三日太郎と言う中年の男性である。
ただし、ホッケーマスクを常時着用しており、その素顔は知れない。
客の話によると、ラーメンはトマトケチャップで赤く染められており
非常に不気味な味がする。
店内には、「恨みを晴らす」等のスローガンが書かれており、さらに
壁にチェーンソーや斧が飾られていたと言う。

ラーメン伝説第3部 1-3-1

「復讐ラーメン」

村友達は、資料を見ながら怪しいラーメン屋についての調査を
続けた。それは長い時間だった。

そして・・・。

「この店、どうも怪しいな」
「そうですねえ・・・」

今回の事件に関与している可能性のあるラーメン屋をついに
見出したのである。

ラーメン伝説第3部 1-2-8

三人はとり合えず散らかった資料を片付ける事にした。

片づけが終わった頃、警部が戻ってきた。
「市役所にラーメン屋のデータを貰いに行ってきたぞ」
「それなら我々が取りに行きますよ」
村友は言った。
「なに軽い運動みたいなものだ気にするな」
そう言って資料の山を積んだ。

ラーメン伝説第3部 1-2-7

「この中で殺害方法が奇抜で数が多いのは…」
前田巡査は取り掛かる案件を絞る事にした。
「この辺りに赤い点が多いですね」
島田巡査は素早く指差した。
「赤い点は…『熱々のラーメン汁を被害者にかけ、さらに丼を割って破片で殺害』か」
村友巡査長は先ほど振り分けた資料の塊を取り出した。
「となると可能性が高いのはその赤い点の集団の内側か…
よし、村友巡査長この件から洗い出してみるか」
警部はそう言ってまた何処かへ消えてしまった。

ラーメン伝説第3部 1-2-6

フランケンフルト市の南西にある八剱市は東京湾を横断できる長大な道路がある事で有名だ。
この道路を経由して対岸からやって来た可能性も捨て切れなかったが
繰り返し同じ手口を使うような自己顕示欲の強い犯人が態々そんな事をするとは思えない。

ちなみにフランケンフルト市は、90年代にソーセージ産業を振興させる目的で作られて挫折した都市である。
その挫折によってできた借金で市の経営は危機的な状態だった。
千葉県が「ラーメン特区」に指定された際は市長や市役所員が死に物狂いでPRした。
その甲斐もあって市内には沢山のラーメン屋ができそれを目当てに市にやって来る者も居た。
それによって市の財政は安定したものの今度は市内で凶悪な事件が多発する事態になったが…。

ラーメン伝説第3部 1-2-5

4人で資料相手に格闘を始めた。
それぞれ管轄別に担当し資料を殺害方法別に振り分けていく。
そして地図に殺害方法別に色を変えペンでマークした。



「これで全部か…」
警部はそれを見て唖然とした。
フランケンフルト市全域及び近隣市町村に点が大量にあるのだ。
「このうちの何割が宇宙人の仕業なのか…」
村友巡査長は途方もない任務にあたっていることを痛感した。

ラーメン伝説第3部 1-2-4

「凄い量ですね…」
前田巡査は警部が持ってきた資料の多さに驚く。
「色々と隣の署を回ってきたからな」
警部は答える。

警察署にはそれぞれ管轄がある。
つまり犯人が市境を「越境」すれば捜査が面倒になる。
合同捜査という手もあるがよほどの凶悪犯で無い限りまずありえない。
それに合同捜査でもお互いに足の引っ張り合いを起こす可能性があるので犯人には有利だ。
そこに付け入る者も多いと言う。
つまり市境に住んでいる者なら程度にもよるが越境して犯罪を行えば捜査対象に入る可能性そのものが減る。
しかも土地勘があるので犯行を行いやすい。
そこで裏をかいて近隣の管轄署まで出かけていたのだ。

ラーメン伝説第3部 1-2-3

「色々と情報を貰ってきたぞ」
警部が戻ってきた。
どうも他の署に行って捜査資料を貰ってきたらしい。

行政と言うのは基本的には縦社会で他組織の人間が物事に口出しをするはタブーだ。
だが「警部」が直々に資料を取りに行けば管轄外の組織でもそう無碍には出来ない。
なにせ相手は軍隊で言う所の「大尉」に相当する階級だ。
彼を無碍にしようとしたら同格かそれより上の階級でなければ無理だ。
そんじょそこらのキャリア若手警部じゃ相手にならない。
精々上を通して苦情を通すのが精一杯だろう。

ラーメン伝説第3部 1-2-2

「前田さん、コーヒーです」
続けて前田巡査の机にコーヒーカップを置く。
「ありがとうございます」
ナルシストの彼でも島田巡査には気を使っていた。

長井警部は外出していた。

この部屋は小さいながらも「ラーメン調査隊」に宛がわれた専用の部屋だ。
元は資料室の一つだったらしく床が頑丈だ。
ここ数日間ここにあった資料やら棚やらを移動したり掃除したりなどで大童だった。
机やらボードやらを運び込み私物を並べ漸く一息ついた感じだ。