ラーメン伝説第3部 1-6-10

「宝暦4年って何年だ?」
村友が尋ねた。
「西暦1754年ですね」
前田が素早く答える。
「…役所の連中よくこの書類受理したな…」
村友が呆れ果てた顔をする。
「ご丁寧に妻の名前が『マリーアントワネットジョゼファジャンヌ』に
婚姻日が『明和7年4月21日』…旧暦に直して計算してある…」
島田は眩暈が酷くなってきたようだ。
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ラーメン伝説第3部 1-6-9

「氏名:ドフランス ルイオーギュスト
生年月日:寶曆(宝暦)4年8月23日
父:ドフランス ルイフェルディナン
母:ドサクス マリージョゼフ
続柄:三男
配偶者区分:夫

身分事項
出生地:フランス共和国イル・ド・フランス地域圏イヴリーヌ県
ヴェルサイユ市ダルム広場ヴェルサイユ宮殿…」
島田は途中で軽い眩暈を感じた。

ラーメン伝説第3部 1-6-8

「その人物は何者だ?」
長井警部は当然ながら疑問を口にした。
「別名『ル・デニー(末王)』。
『ロワ・デ・フランス・エ・デ・ナヴァラ(フランスとナバラの王)』の『ルイ・セーズ(ルイ16世)』」
前田がフランス語を混ぜて答えた。
「ルイ16世?!1793年に『ルイ15世広場』で死んだんじゃ?!」
長井ですらその内容に仰天した。
「戸籍だと本籍地は洞穴の場所ですね」
島田が戸籍謄本に目を向ける。

ラーメン伝説第3部 1-6-7

聞き込みを繰り返す村友と島田。
刑事課も動いている。
次第に情報が集まってきた。

翌日捜査会議が行われた。
と、言っても刑事課は他の案件に取り掛かったのでラーメン調査隊だけだが。
「『当日夜に近くの洞穴から上半身裸で腰に毛皮を巻いて裸足のいかにも原始人の様な格好を
した人物がラーメンを持って出歩いた』と言う証言が出ています」
島田が複数の証言を纏めた。
「その洞穴のある土地ですが『ルイ=オーギュスト アンドラ大公』と言う人物が所有者になっています」
村友が述べた。

ラーメン伝説第3部 1-6-6

「私は大丈夫ですよ、幸い打ち所が悪くなかったので。
それに村友さんがあの場所に居なかったら私は死んでいたかもしれませんし」
田門選手の答えに村友の手に力が入る。
「村友、田門選手から聞いた事はこれにまとめておいたぞ」
刑事課の巡査長は村友に要点を書いた手帳を見せた。
「村友巡査長、これがホシ(犯人)の似顔絵です」
似顔絵捜査員がスケッチブックを見せた。
「これが、犯人か…」
スケッチブックをまじまじと見る村友と島田。
そこに描かれていたのは厳つい獰猛な顔で、原始的な風貌だ。

ラーメン伝説第3部 1-6-5

村友はドアを開けた。
「失礼します」
村友と島田は病室に入った。
「ああ、昨日救急車を呼んでくれた人…刑事さんの知り合いですか?」
田門選手は村友の顔を覚えていた。

「…そう言うことでしたか」
村友から経緯を聞いて田門選手は納得した。
「申し訳ありません」
田門選手に頭を下げる村友と島田。

ラーメン伝説第3部 1-6-4

「…こんな感じです」
田門選手は似顔絵捜査員の描いた絵を見て頷いた。
ドアをノックする音がした。
「誰だ?」
刑事課の巡査長がドアの向こうの人物に対して尋ねる。
「その声は…」
ドアの向こうの人物が反応する。
「村友か?入っていいぞ」

ラーメン伝説第3部 1-6-3

「『ラーメン調査隊』の長井だ」
警部が電話を受ける。
「…わかった」
受話器を置く警部。
「害者の意識が戻ったらしい。村友、島田行って来い」
「はい!」
二人は素早く席を立った。

警部の話によると刑事課の連中や鑑識の似顔絵捜査員も向かっているようだ。
特殊警棒を携帯し鞄に必要な物を詰めて自転車で病院へ向かう二人。

ラーメン伝説第3部 1-6-2

翌朝、村友は浮かない顔をして出勤した。
まだ部屋には誰も居ない、勤務時間はまだしばらく先だ。
資料にもう一度目を通し見逃したものが無いか確認する。
そうしているうちに島田と前田が出勤してきた。
二人もそれぞれ調べ物を始めた。
そして警部がやって来た。
「鑑識や病院からの連絡は来たか?」
「いえ、まだ来てないようです」
警部の問いに答える村友。
と、突然電話が鳴りだした。

ラーメン伝説第3部 1-6-1

「フランス人の王」

鑑識官達が証拠になりそうな物を探している。
長井警部が現場経験の無い若手の刑事課長代理に怒鳴られていた。

「申し訳ありません、店の前で見張っておきながら被害を食い止める事が出来なくて…」
村友が戻って来た長井警部に謝った。
「そうだな…だが謝る相手が違うだろう」
警部が村友に言った。
「(被)害者…ですね」
村友の答えに警部は無言で頷く。