ラーメン伝説第3部 4-10-15

「そろそろ時間です」
スターリンは偵察ついでにチンピラか奪ったら高価な時計を一瞥し大王に言った。

 翌朝、フランケンフルト市や八剱市はいつに無く静かだった。
「おはようございます、警部」
三人は調査隊の部屋に入って来た長井警部に挨拶した。

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ラーメン伝説第3部 4-10-14

 「斥候の報告によると警備が比較的手薄なのは……軍や警察の施設付近ですね」
その状況を見かねてペリース大尉が地図を指差し大王に説明した。
「どう見ても囮だろうソレ……」
スターリンはいつに無く項垂れている。

「いや、それこそ勝利の鍵だ。油断しきった連中の眼前を突破する」
軍や警察と大した戦闘が行えなかったので大王は血の気が余っていた。
「慢心した連中の防御を食い破るぞ!」
自慢の牙を光らせて雄叫びを上げる。

ラーメン伝説第3部 4-10-13

「ンだとするとアイツらはオレを放って逃げたのか?」
「恐らく……」
警官は言葉を濁す、どうも嘘のようではない。
「アイツら……日頃はあんなに親しそうな振りして……絶対に許さねェ!」

 日が暮れて既に夜だ。町の至る所に武装警官や完全装備の軍人が警戒にあたっている。
「キュモス大王、警戒が厳しくて港には近づけません」
借主不在の空店舗に集まったスターリンラーメン残党。
偵察に出た他派の報告を受けてスターリン(ジョゼフ)は頭を抱えていた。

ラーメン伝説第3部 4-10-12

 制服姿の警官が入って来た。
「ゴールドン曹長ですね?」
「そうだ、仲間は?」
そう簡単に教えてくれるとは思えないが一応尋ねてみた。

「負傷者はあなた以外見つかりませんでした。
それに現場に残った血痕もあなたの物だけでした」
警官の答えを聞いて体温が上がっていく感覚に襲われた。

ラーメン伝説第3部 4-10-11

「……えるか?何語ならわかる?」
英語で話しかけられた、ぼんやりと人の顔が見える。
「医師か?」
「そうだ」
その答えを聞いた途端視界がハッキリする。

アルコールの臭い、やたらと白ばかりが目立つ背景……病院だ。
「と言う事は生きているのか」
「はい」
 ゴールドン曹長は自身が捕まった事を認識した。

ラーメン伝説第3部 4-10-10

「ちくしょう!悪魔(ベルフェゴル)め!」
ゴールドン曹長は機首を向ける敵機に向けて罵りながらブレンガンの引き金を引き続けた。
上下両方の翼に載せられた7.62mmNATO弾の弾幕が彼らを襲う。

「いつ見ても生きた心地がしないな」
誤射を避ける為、少し離れた場所で見ていた長崎大尉は呟いた。
滝の様に弾丸が残党の殿を襲う。
相手の戦意をくじく為に標準より曳光弾は多めにしてある。
翼竜よりゆっくり飛ぶ「郭公」は長時間の掃射を行った。

ラーメン伝説第3部 4-10-9

「射撃こそ激しいが突撃してくる訳でもない……戦意が足りねぇのか?」
ゴールドン曹長は次の瞬間、軍側の意図に気が付くことになる。

ジェットエンジン特有の甲高い音を響かせてソイツは来た。
複葉に角ばった胴体そして固定脚……時代錯誤とも言えるようなデザイン。
その胴体上部には左右に一発ずつエンジンが装着してある。

 新明和「郭公」……PZL M-15 Belphegorのライセンス版だ。
もっともCOIN機改造キットを使っている為、エンジンの配置を始め色々と変わっている。
主翼上面には規則的に三四式車載機関銃が並べられている、それも下翼だけでなく上翼もだ。

ラーメン伝説第3部 4-10-8

「単なるテロリストじゃないな……動きがしっかりしている」
彼女は眼前の集団を見据えて言う。
薄汚れた茶褐色の戦闘服に皿型のヘルメット、どう見ても第二次大戦の英軍それも北アフリカで使われた服装だ。

「大尉、暢気にそんな事言っている場合じゃありません!
完全に突破を許してます」
残党主力は既に高速道路を越え市街地へ向かっていた。

「郭公」部隊では火力が強すぎて市街地へ被害が出る可能性がある。
「せめて一人だけでも捕まえれば情報が得られるかもしれない『郭公』に支援要請を出してくれ」

ラーメン伝説第3部 4-10-7

「連中あんなところに居たのか」
殿のゴールドン曹長の分隊は死角だった窪地から出てくる軍人達に気が付いた。
「まだ気がついて……いや、気が付かれた!応戦しろ!」
軍の発砲した弾が付近の木々に命中し跳弾は彼らの頭上を音を立てながら通過した。

部下もSMLEやランチェスターSMGで応戦する。
曹長もブレンガンで素早く三点射を繰り返し時間を稼ぐ。
「下がるぞ!」
味方が逃げ切る時間を稼いだ事を確認し彼は味方と合流を命じた。

ラーメン伝説第3部 4-10-6

 同士討ちを避ける為、防御線を放棄していた軍側の行動も知らずキュモス達はそのまま線を突破。
ひたすら海へ向けて走る。
「攻撃終了。支援に戻る」
上空の「郭公」部隊から爆風消火終了の連絡が来た。
窪地から出て軍側は周囲を観察する。
「大尉!10時の方向に目標らしき一団が!」
木々の隙間から僅かに見えるキュモス達を発見した。
「急げ、連中を逃すな!」
長崎大尉は檄を飛ばし攻撃準備を急かす。