ラーメン伝説第3部 4-14-22

 「前田、これは……」
村友は言葉を失った。その砲弾の正体を彼は知っていたからだ。
「『谷岡結晶G』を内蔵した砲弾、秘匿名称"37 F1 Obus-G"です」
前田は臆せずに告げた。
 谷岡結晶Gは回転がかかると効率が落ちるのでフランスのOCC 105 F1(G弾)を参考にして、ベアリングを使い炸薬に相当する結晶が詰まった容器だけ回転しないように出来ている。
ベアリングなどの調達コストが嵩むが貴重な谷岡結晶Gを節約できると言う得がたい効果があったので開発した。
「G」は谷岡結晶GとObus-Gを引っ掛けたものだ。
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ラーメン伝説第3部 4-14-21

 前田が言うには丁度良い木箱がなかったので近所の魚屋が使っていた箱を貰ったが、それが魚の血らしきもので赤黒く染まっていた。
島田はそれを村友に渡した。
受け取った途端に緑色に輝く箱。その輝きはまるで心臓が脈打つように点灯と消灯を繰り返す。
村友は恐る恐るその箱を開けると美しい銀色の砲弾が置いてある。
これを見続けていれば魅入られてしまうのではと思うくらいだ。
それは砲弾と言うより何かのインゴットのようにも見えた。

ラーメン伝説第3部 4-14-20

 砲台内で爆発が繰り返される。
奥に置いた弾薬に誘爆し施設を吹き飛ばす。
「島田さん、木箱を持ってきてください」
前田は島田に木箱を持ってくるように頼んだ。
木箱を抱えて駆け足で戦車へ向う島田。
車外に装備された通信機で木箱を持ってきた事を伝える。
島田はこの不気味な木箱を早く前田に渡したかった。

ラーメン伝説第3部 4-14-19

 第二海堡の砲兵中隊も射撃速度を増した。
「非常用の穿甲榴弾や貫甲榴弾すら効かん……」
彼らは目の前の敵がいかに規格外れかを思い知る。
巨大化ガニの口が開き何か気体が漏れているように見える。
「伏せろ!」
砲台に対して巨大ガニは炎を放つ。
猛烈な火炎砲台を襲った。

ラーメン伝説第3部 4-14-18

「そう簡単に……命中。本当にあてたのか」
大尉が言ってる傍から村友は37mm弾を命中させた。
「よし振り向いたぞ!とにかく撃て!」
平易な言葉に言い直し大尉は指示を続ける。
村友はひたすら装填と射撃を繰り返した。
「奴さんカンカンだぞ、こっち向ってきたぞ」
車外の警部が連絡した。

ラーメン伝説第3部 4-14-17

「近し、6右、左へ6、増せ10」
長崎大尉から有線電話で修正指示が入る。
「大尉が引き受けてくれて助かりました」
「まったく……私は歩兵科だぞ前進観測班は砲兵科だ」
前田の言葉に大尉は呆れ声で返した。
巨大だとは言え移動している相手の目に当てるなんて無茶を言うのだから当惑するのは当たり前である。
確かに目に当たれば37mmでも振り返らせる事はできる。

ラーメン伝説第3部 4-14-16

「警察では長距離射撃はやらないんだったか」
大尉は警部の話を聞いて思い出した。
警察系特殊部隊では近距離からの精密射撃が主体で1km越え射撃は空港警備など限られた任務の部隊しか訓練は力を入れていない。
一方軍では小火器以外なら1000メートル越えの長距離攻撃はよくある事、特殊部隊でも狙撃手は長距離を任されることが多い。
「これでよし」
大尉はやや高台の臨時観測所から双眼鏡で太平洋の魔王を見据えた。

ラーメン伝説第3部 4-14-15

「大尉、彼らを見てきてくれませんか?」
予備役とは言え少佐の方が階級は上なのだが少佐は気にせずに続ける。
「大尉が殺気立っていてると皆やりづらいのです」
「はっきり言うお方だ。わかりました彼らを見てきます」
少佐に指摘されて大尉は苦笑して調査隊へ向う。
「長崎大尉、ちょうど良い所に」
長井警部は大尉を見つけるなり駆け寄ってきた。

ラーメン伝説第3部 4-14-14

「空軍の連中は何をしている!」
長崎大尉は歯痒さを感じていた。
手持ちの火器では届かせる事すら難しい。
空軍側も警告・迎撃用の戦闘機部隊ならいつでも飛べたが攻撃機や爆撃機の準備には時間が掛かる。
海軍も海軍でパンチ力のある巨砲艦である「松島」型砲艦はモスボール済み。
それ以上大きい戦艦ならなおさらだ。
陸軍も自走重砲はモスボール済み。
十五糎榴弾砲は怪獣出現の報で渋滞が悪化した道路で立ち往生。

ラーメン伝説第3部 4-14-13

 ルノーNCから放たれた徹甲榴弾は太平洋の魔王に命中する。
だが彼はそれを無視して奥へ進む。
付近の各砲台から射撃が浴びせられるが大口径の機関砲や礼砲用の105mm榴弾では威力は高が知れている。
ましてやそれより低初速で軽い37mm砲弾ではかすり傷以前である。
それでも射撃を続ける。
まぐれ当たりでこちらに気が向けばそれだけでも儲けものだ。